COLUMN 【サイクリングスポット】江戸散走 東京スカイツリーから荒川サイクリングロード、浅草

とうきょうスカイツリー駅、押上駅に直結する商業施設「東京スカイツリータウン」。 東京のシンボルタワーを中心に、国内外を問わず訪れる人で連日賑わいを見せている街だ。 しかし、近未来の光景は少し自転車で離れるだけで、また違った東京の顔が見る事ができる。 今回の散走は、東京スカイツリータウンからサイクリングのメッカ、荒川サイクリングロードを通り浅草へと自転車ならではの機動性を存分に活かした道のりを紹介しよう。

東京スカイツリータウンから荒川サイクリングロードへ

都営地下鉄・京成電鉄・東京メトロ 押上駅、東武鉄道 とうきょうスカイツリー駅に直結されている商業施設の東京スカイツリータウン。

地上に出て見上げれば、634mの高さを誇る東京スカイツリーが空を貫いている。

東京のランドマークは、周辺をサイクリングで周遊する際にも目印に。

隣接する駐輪場に設置されたサイクルステーションからシェアサイクルで荒川サイクリングロードへと向かった。

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東京スカイツリーを見上げる。

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押上駅前自転車駐車場にはシェアサイクルのステーションが設置されている。

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江戸時代には川が流れ、船を曳いていた事から名づけられた曳舟の地名。

人力で曳く船

荒川までの道、標識には曳舟川の文字が記されている。川は無く道路があるのみのこの場所は、江戸時代から明治にかけ「曳舟」と呼ばれる水上交通機関によって人が往来していたという。

陸上から人力で船を曳いて人を運ぶという、なんとも想像しがたい交通手段だが、江戸から水戸などへと向かう旅人達で賑わっていたという事だ。

自動車の隆盛とともに昭和の時代に埋め立てられ、今では道路のみとなった曳舟川を過ぎ、荒川に出る。

埼玉県秩父地方から流れ出る荒川は、埼玉県鴻巣市付近で日本最大の川幅2,537mを持ち、東京湾の河口まで10kmほどとなるこの辺りでも広々とした視界だ。

先ほどまでいた東京スカイツリータウンの賑やかさとは違ってどこか牧歌的な雰囲気さえ感じられる。

しばらくは大空の下、荒川の広いサイクリングロードをのんびりと走る贅沢な時間に浸るとしよう。

荒川サイクリングロードには平日でも多くのサイクリストが行き交う。ロードバイクで疾走する人、クロスバイクで気の向くままに走る人、バスケットに荷物を積んでお買い物後の移動にサイクリングロードを利用する人。

他にも散歩や、ジョギングを楽しむ姿が見られる憩いの道。

周辺の道路には渋滞する車も見え、広々としたサイクリングロードにいると、この上ない優越感になる。

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埼玉県奥秩父から東京湾まで流れる荒川。

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広々とした荒川サイクリングロードの路面。

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所々にポストがある。

 

荒川から分岐する隅田川

荒川サイクリングロードから西新井橋で町屋方面へと向かうとすぐに隅田川を渡る。

花火大会でも有名な隅田川は、荒川から分岐して東京湾へと流れ出る川だ。屋形船や花火大会など、代表的な東京の風物詩としても全国的に有名な川となっている。

直前に訪れていた荒川サイクリングロードにあった距離のポストには「墨田区」。そういえば、川は「隅田川」と同じ「すみだ」でも字が違う事にあらためて気づいた。

区の名称を決める際に当初、隅田区が候補ではあったものの当時使用されていた当用漢字表に隅の文字が無かった事から墨田区となったよう。

あまり気にしていなかった文字ではあったが、こうして散走していると新たな発見があるものだと感じる。

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区は墨田、川は隅田と書く。何やら複雑な理由があるようだ。

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隅田川から東京スカイツリーを望む。

下町

隅田川を渡ると町屋の賑わう商店街を通り、東京さくらトラム(都電荒川線)の駅へと出る。

三ノ輪橋から早稲田まで約12kmの道のりを走る一両編成の風情のある車両が通り過ぎていく。高層ビルの立ち並ぶ都心とは違った東京のもう一つの姿をゆっくりと眺めていこう。

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東京さくらトラム(都電荒川線)町屋駅。

 

首切地蔵から平賀源内の墓へ

延命寺の首切地蔵。地図上に現れた、いかにも目を引く名称に引き寄せられながら、たどり着いた寺には地蔵のイメージとはかけ離れた堂々とした仏像が鎮座していた。

江戸時代から明治の初期まで刑場であった地には、後に供養のための寺と地蔵が建てられた。

JR常磐線 南千住駅を過ぎて再び隅田川の畔へ出る。

スカイツリーを見ながら、気持ちの良い川沿いの道をしばらくのんびりと走り、次の目的地の平賀源内の墓に到着。

一見すると閉まっているように見えた扉を開けて中に入ると、江戸時代に生きた発明家の平賀源内の墓標がある。

江戸の華やかな時代の側面に触れる散走らしく、東京観光では見ることが無いような深い体験が続く。

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延命寺の首切地蔵。

 

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荒川区民のオアシス、汐入公園から東京スカイツリーを望む。

 

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江戸時代の発明家、平賀源内の墓。

 

あしたのジョーから樋口一葉記念館

ディープさを醸し出してきた江戸散走。漫画、あしたのジョーの舞台となった山谷のエリアに入った。

土手通りの道沿いにある等身大のあしたのジョーは色褪せていて、光のあたり方によって黄昏を感じる。

派手さが全くないオブジェだが、そこに矢吹丈らしさがある。

土手通りから吉原をかすめ、樋口一葉記念館へ。

たけくらべの舞台にほど近い場所に立つ記念館の中には、明治期の女流作家、樋口一葉の生い立ちや、ゆかりの品々が展示されている。

若くして亡くなるまでの奇跡の14か月を生き、数多くの名作を生みだした樋口一葉。展示されていた机の小ささに驚かされた。

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漫画「あしたのジョー」の舞台ともなった山谷の地に立つ「あしたのジョー立つんだ像」。

 

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奇蹟の14カ月で名作を残した樋口一葉を記念した一葉記念館。一葉の使った机をはじめ、ゆかりある展示物は一見の価値がある。

 

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一葉記念館近くにある樋口一葉の旧居跡。

 

関東大震災

大正12年、関東地方を襲った巨大地震。吉原の遊郭は大火事に見舞われ、逃げ場の無かった遊女たちがこの弁財天の場所にあった池に飛び込み500人が溺死した。

震災後の大正15年に供養のために吉原観音が建立され、今も静かに観音像が佇んでいる。

境内には震災当時の新聞なども展示されており、当時の惨状を知る事ができ、大都会での災害をあらためて考える機会になるだろう。

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大正15年に建立された大震火災殃死者追悼記念碑。

 

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静かにたたずむ弁財天観音像。

 

江戸散走のシメは浅草

江戸時代からの歴史を感じる散走も浅草に近くなり、ゴールが見えてきた。

浅草 酉の市 総本社 鷲神社 開運 と大きく掲げられた鳥居をくぐると、社殿に大きなおかめが見えてくる。

見ているだけも幸せになりそうなおかめは「なでおかめ」と呼ばれ、

おでこをなでれば賢くなり
目をなでれば先見の明が効き
鼻をなでれば金運がつく
向かって右の頬をなでれば恋愛成就
左の頬をなでれば健康に
口をなでれば災いを防ぎ
顎(あご)から時計回りになでれば物事が丸く収まる

と云われている。

 

 

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酉の市で有名な鷲神社(おおとりじんじゃ)

 

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見ているだけでも幸せになりそうな、なでおかめ。

 

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酉の市の準備の始まる浅草の町。

 

江戸を巡るなら自転車で

江戸の栄華、光と影、一見すると住宅地の街並みの中に隠れている数々のスポット。

自転車ならではの機動力と速度で巡れば、発見の数も想定より多くなった。

  • 押上駅-荒川サイクリングロード-町屋駅-延命寺の首切り地蔵-汐入公園-平賀源内の墓-一葉記念館-吉原神社-鳳神社-浅草
  • 距離:約19km
  • 消費カロリー:約800kcal
  • シェアサイクル:押上駅、浅草駅周辺にハローサイクリングのステーションがあります
  • シェアサイクル:ハローサイクリング アプリはこちら

 

周辺サイクルベースあさひ

曳舟店

南千住店

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