COLUMN 【自転車相談室】自転車用ヘルメットの選び方 ~用途に合わせたヘルメットの形と素材~

2023年4月からの自転車乗車時のヘルメット着用努力義務化によって、これまでスポーツユースや子供用としての使用が中心だったヘルメットが街中を行き交うシティユースの自転車でも頻繁にみられるようになってきました。 ヘルメット着用努力義務が始まった当初は品薄で手に入れる事ができなかった方たちの中にも、供給が安定するにつれて再度購入を考えていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。 今回は、自転車用のヘルメットについて、その形状や素材などの違いをご紹介します。


  1. 自転車用ヘルメットの形状
  2. 自転車用ヘルメットの素材
  3. 自転車用ヘルメットの安全基準

1.自転車用ヘルメットの形状

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オートバイのヘルメットと異なり、自転車用ヘルメットのには穴が開いた形状の製品が多く使用されています。

こちらのヘルメットにも、前部から上部にかけてと後部に穴が開いています。(下画像の左が前部、右が後部。)

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オートバイと異なり、自転車は乗車している人間自身がペダルを漕いで走るため、エンジンとなる人間が熱くなり頭部に熱がこもらないように放出できるように穴が設けられています。

下画像の2つのヘルメット、左は穴が少なく、右は穴が大きくさらに数も多くなっています。

何故だと思いますか?

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左は主に電動アシストサイクル、右は主にスポーツサイクルでそれぞれ使用される自転車用ヘルメットです。

電動アシストサイクルは文字通り電気の力でペダルを漕ぐのをアシストしてくれます。そのため人間の身体も熱くなりにくいためヘルメットの穴も少なく、小さいものが使用できます。

逆に、峠道や長距離を人間の力のみで走るスポーツサイクルは人間の身体が熱くなりやすいため頭部の熱を逃がす必要があり、さらにヘルメット内が蒸れにくくなるよう穴が大きく、数も多くなります。

もちろん、自転車に乗らなくても暑い夏は電動アシストサイクルに乗る方でも空気孔の沢山あいたスポーツサイクル用のヘルメットを使用するのも良いですし、

冬場は穴が開いていると寒く感じるのでスポーツサイクルに乗る方でも空気孔の少ないヘルメットを被ったり、ヘルメットと頭部の間に薄手のヘルメットキャップ(帽子)を被るのも一つの手です。

基本は、乗る自転車や坂道などの環境によって、自転車用ヘルメットを選ぶのが良いでしょう。


2.自転車用ヘルメットの素材

数多くの自転車用ヘルメットは落車時に頭部を直接守る発砲スチロール部分と、ヘルメット自体を保護する外側のシェル部分で構成されています。

下の画像、左側は主に街中で乗るシティサイクル等で使用される自転車用ヘルメット、右側は主にスポーツサイクルで使用されています。

画像では分かりにくいですが、左側はハードシェルと呼ばれる厚い素材がシェル部分に使用されていて、右側はソフトシェルと呼ばれる薄い素材がシェル部分に使用されています。

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右側の主にスポーツサイクルで使用されるヘルメットは、軽快に走る事を目的として軽いソフトシェルが使用されています。軽い分、扱いは丁寧にする必要があります。

左側の主にシティユースとして使用されるヘルメットは、軽快さを重視するよりも一般的な使い方を前提としているため、固く厚みのある素材がシェルに使われています。

その分重くなりますが、例えば使用しない時はバスケットの中に入れておく。といった事も考慮すると、シティユースではハードシェルの自転車用ヘルメットを選ぶのが良いでしょう。


3.自転車用ヘルメットの安全基準

ヘルメット市場の拡大とともに、様々な自転車用ヘルメットが流通するようになりました。

購入の際に気を付けておきたいのが、安全基準。

流通している製品の中には、安全規格に適合していない製品もあり、事故・落車時にヘルメットとしての機能を果たさない製品もあります。

自転車用ヘルメットでは、主に全てのEU(欧州連合)加盟国の安全基準を満たしている製品に付けられるCEマークと、アメリカ合衆国消費者製品安全委員会が定める安全基準を満たすCPSCの2種類のうちいずれか一つのマークが製品に付けられているものが多くなっています。

この他、子供用ヘルメットには日本の安全基準であるSGマーク、競技用ヘルメットには日本自転車競技連盟の公認ステッカーが貼られています。

下画像、左側がCPSC(アメリカ合衆国消費者製品安全委員会が定める安全基準)、右側がCE(EU加盟国の安全基準)を示すステッカー。

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市場に流通しているヘルメットは様々な製品があります。

購入前は安全基準を満たしているかどうか一度確認をしてからの購入がおすすめです。


ヘルメットを被らないというのは

成人の頭部の重量は体重の約10%と言われています。

体重60kgの人ならば、頭部の重量は6kgです。

乗車時が1m50cmの高さに頭部があったとして、転倒した際に地面に頭部を打ち付けるのは1m50cm上から6kgの物が頭部に落ちてくるのと同じような衝撃となります。

想像するだけでゾッとしますね。

安全基準を満たし、自分にあったヘルメットを被って、安心安全なサイクリングを楽しみましょう。

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