COLUMN 【サイクリングスポット】渋滞や混雑も無く効率的に巡る京都観光サイクリング -京都 伏見-

京都伏見。 大坂から淀川を使った船旅の終点に位置するこの地は、酒蔵と幕末の激動の時代を伝える史跡が数多く点在している。 淀川サイクリングロード、桂川サイクリングロード、木津川サイクリングロードといった川沿いのサイクリングロードを利用してサイクリングで訪れるにはもちろん、京都市内からシェアサイクルやレンタサイクルを利用して訪れるのもおすすめ。 賑わう京都市内の渋滞や混雑をよそ眼に、市内中心部とはまた一味違った雰囲気の街並みを通りながら、京都歴史探訪サイクリングをしてみよう。

寺田屋と酒蔵

かつては船着き場として栄えた伏見の街には多数の旅籠、船宿が軒を連ねていた。寺田屋事件、寺田屋遭難の舞台となった旅籠、寺田屋もその中の一つ。

当時の建物は鳥羽伏見の戦いの際に火災で焼失したものの、建物跡とその横に再建された建物を見る事ができる。

1866年3月9日に起こった伏見奉行所の捕り方による坂本龍馬の暗殺未遂事件、寺田屋遭難(寺田屋襲撃事件)。後の龍馬の妻となる龍の機転によって辛くも捕り方から逃れる事ができたのが、寺田屋。石碑の前に立つと、当時の襲撃の様子が目に浮かびタイムスリップをしたような気分になるのが不思議。

寺田屋の周辺は月桂冠や黄桜といった酒蔵が並び、寺田屋と合わせ昔ながらの街並みが続く。酒を飲まずともアイスクリームや酒の仕込み水の水出しコーヒーで休憩をとる事もできるため、豊臣秀吉の時代に繁栄を極める伏見の酒造りの歴史を感じながらゆっくりと街並みを楽しんでいきたい。

幕末の歴史舞台となった伏見の街は歴史探訪に事欠かない。

周辺には伏見奉行所跡や鳥羽伏見の戦いで受けた弾痕の残る建物などが点在、中には1868年に日本で初めて電車が開業した電気鉄道発祥の地もある。様々な歴史スポットを事細かく見ていくにはフットワークの軽いサイクリングが最適だろう。

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淀川からの舟運、船旅の終点。大坂からの荷物はここから高瀬舟に載せ替えられ洛中に運ばれた。

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寺田屋事件、寺田屋遭難の舞台。旅籠寺田屋。

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観光スポットらしく、寺田屋 坂本龍馬 の表札が掲げられている。

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木の壁が良い雰囲気を醸し出す。

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酒蔵のシンボル、杉玉。

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1895年に京都電気鉄道伏見線が開通した電気鉄道事業発祥の地。

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鳥羽伏見の戦いで受けた弾痕が残る建物。戦いのあったのは1868年の1月末。雪のちらつく寒さだったかもしれない;

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引き戸の左手と中央左下に弾痕を見る事ができる。

サイクリングならではの寄り道で足を延ばす

公共交通機関での京都伏見観光となると、伏見稲荷大社と寺田屋・酒蔵で終わる、もしくは伏見稲荷大社だけという事も多いだろう。

鉄道沿線になりがちな観光スポット巡りとは違い、サイクリングならば少し足を延ばして静かなスポットを訪れる事ができる。

そこで伏見の街並みから西へ向かい、明治天皇伏見桃山陵、伏見桃山城を目指した。

明治天皇伏見桃山陵に続く道の途中には御香宮神社が鎮座している。伏見の名水で有名な御香宮神社は御香水はもちろん、境内の至るところに見どころとなっている。

伏見桃山城の大手門を移築した門をくぐり、境内に入る。拝殿は極彩色彫刻が施されており煌びやかだ。

本殿前に御香水が出ており、汲んで持ち帰る方も多い。茶道や書道でも使われる御香水は862年に清和天皇が命名したというから、いかに古くから愛されてきた水なのかという事がわかる。

他にも能舞台や絵馬堂などを眺めていると時間が経つのを忘れてしまうほどだ。

御香宮神社を出て少し坂道を走る。これまでの街中と違い、緑の林の中に入り陵墓が近い感覚になる。まず訪れたのは明治天皇伏見桃山陵に向かいながら建つ乃木神社だ。

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極彩色彫刻が施された拝殿。雪が舞う拝殿も美しい。

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伏見の名水、御香水。

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ボトルを持参して持ち帰りもできる。

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歴史を感じる絵馬堂。

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能舞台。

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林の中を抜ける明治天皇伏見桃山陵へと続く道。

伏見桃山

明治天皇伏見桃山陵に向いて建つ京都乃木神社。乃木希典にちなみ、長府旧邸が境内に復元され、幼少期の乃木の生活風景を見る事ができ、他にも博物館のような要素もあり明治時代を知る興味深い神社だ。

乃木神社から少し東に行くと明治天皇伏見桃山陵がある。長く続く階段を上がれば、開けた視界に陵墓が入ってくる。振り返れば高台から市街が見え、静かな空間となっている。

京都中心部や嵐山、伏見稲荷大社といった人気スポットの混雑からは想像ができない静かさ。しかし、ここも京都。サイクリングで少しだけ足を延ばす事で、知らなかった京都の一面を見る事ができる。

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乃木神社。

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君が代にも謡われているさざれ石。

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乃木が幼少期を過ごした長府旧邸。

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乃木の愛馬、壽(左)とその子馬・璞(右)の像が建つ。

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明治天皇伏見桃山陵。この手前が駐輪スペースとなっており、左手から階段を上がって行く。

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明治天皇伏見桃山陵。

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上部がドーム型、下部が四角の上円下方墳。

伏見桃山城

明治天皇伏見桃山陵を後にして丘陵をぐるっと巻きながら再び坂道を行くと伏見桃山城の駐車場が見えてくる。道の周囲にある背の高い木々のおかげで、城らしい姿が見えないため、どこに城があるのかが近づくまで分からないが、駐車場脇にある駐輪場に自転車を停めて行くと、かつては遊園地の入場券を販売していた門の奥に模擬天守が見えてくる。

伏見桃山キャッスルランドとして1964年に遊園地が開園。かつての伏見城を模した天守に、ゴーカートやジェットコースターがあったという土地は、現在では運動公園として部活動の学生などで賑わう。

立ち入り禁止の札で周囲を囲まれたコンクリート製の天守と小天守は、朽ちてきた装いもあり昭和の時代を醸し出している。高度成長期の日本の面影を京都で見るという不思議な場所だ。

伏見桃山城の近くには、桓武天皇柏原陵。

先ほど訪れた明治天皇伏見桃山陵と同じく、ここ桓武天皇柏原陵もまた鳥のさえずりが聞こえる静かな空間となっている。

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伏見桃山城へと続く道。奥に駐輪場がある。

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昭和期に遊園地として再建された伏見桃山城。

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時折激しく降る冬の京都。雪景色に変る史跡も見応えがある。

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桓武天皇柏原陵。

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鳥のさえずりが聞こえる静かな空間だ。

大和街道

桓武天皇柏原陵から丘陵地帯を下り、奈良と京都を結ぶ大和街道に出る。

伏見稲荷大社まで北上する道の途中、現れるのが馬と勝負事の神社、藤森神社。

歴史は古く、203年に神功皇后が三韓征伐からの凱旋時に現在の境内にあるいちいの木の場所でいくさ旗を立てたのが始りと伝えられている。

203年というから、ほぼ2000年の歴史だ。歴史の授業では早送りで過ぎた感覚の時代から続く事に驚いてしまう。

境内には菖蒲の節句にちなみ、武者の像や、馬の神社にちなんだ馬の文字が大きく書かれた絵馬など規模は小さいながらも見るものに事欠かない。ついつい伏見稲荷大社に急ぎ足となる京都巡りでも、ここはじっくりと見て回りたい神社だ。

旧街道で片側1車線の道が続く、伏見の大和街道。時折現れる古い町家に旧街道らしい雰囲気が感じられる。しばらく行くと、伏見稲荷大社となり人通りが多くなってくる。

メジャースポットである伏見稲荷大社は国内外から多くの観光客が訪れ、最寄り駅の京阪電鉄 伏見稲荷駅、JR西日本 稲荷駅のいずれもが混雑している。その景色にサイクリングで訪れた事にホッとする。

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菖蒲の節句発祥の地。

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馬の神社という事で、競馬ファンが多く訪れる。

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参拝すると腰痛が治るという、いちのきさん。神功皇后がいくさ旗を立てたとされる場所だ。

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藤森神社本殿。

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菖蒲の節句発祥の神社。

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奈良と京都を結ぶ大和街道。

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伏見稲荷大社駐輪場。

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伏見稲荷大社。

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五穀豊穣を願う稲荷信仰の総本宮、伏見稲荷大社。

効率的に巡れる京都サイクリング

お稲荷さんにお参りを終え帰路につく。京都は縦に桂川サイクリングロードや賀茂川サイクリングロードが走り、市内中心部までのアクセスもスムーズ。

春からの観光シーズン。京都市内を効率よくスポットを巡るなら、サイクリングがベストだ。

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